皆さんは病気やケガで病院やクリニックにかかるとき、どのように探しますか?
医療従事者の方は、勤務する施設でそのまま受診されるケースが多いと思います。
一方、地元でかかりつけの医療機関を持つ医療従事者の方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、地域の医療機関の探し方について考えたいと思います。
医療情報ネット『ナビイ』で探す
私は20年以上医療機関で働いてきましたが、体調不良の時などはほぼ迷うことなく自分の職場で受診してきました。ですので、自分の病院選びに困った経験がありません。
そこで今回、ネットを利用して筆者の地元でのかかりつけ医を探してみることにしました。
その際、検索で目についたページに医療情報ネット『ナビイ』というサイトがありました。
皆さんはこのサイト、ご存知だったでしょうか?
医療情報ネット『ナビイ』とは
医療情報ネット『ナビイ』とは、2024年4月に開設された厚生労働省が提供する医療機関検索サイトで、全国の病院やクリニック、薬局の情報を検索できるシステムです。
東京都には、元々『ひまわり』という案内サイトがあったのをご存知かと思います。
しかし、この『ひまわり』は、厚生労働省が運営する医療情報ネット『ナビイ』に振り替わりました。
サイト名の『ナビイ』は、「ナビゲーション」の『ナビ』と、「医」という文字の『イ』を合わせた造語のようです。
医療情報ネット『ナビイ』の特徴
今回、筆者のかかりつけ医を探すために、この医療情報ネット『ナビイ』を利用してみました。
その結果、『ナビイ』には以下の特徴があることがわかりました。
- 全国の医療機関の基礎情報が一元的に拾える
- 助産所や薬局まで検索できる
- 多言語対応ができる
『ナビイ』の特徴➊:全国の医療機関の基礎情報が一元的に拾える
『ナビイ』の特徴の1つ目として、全国の医療機関の基礎情報が一元的に拾えるということが挙げられます。
つまり、国や自治体が全国の医療機関から収集している基礎情報が、このサイトに網羅されていると言ってもいいくらい多岐の情報が拾えます。
後に一覧にして紹介していますので見ていただけるとわかるとおり、医療機関の所在地や診療科目などのごく基本的な情報から、「厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)への参加」、「治験結果情報」などの詳細な情報まで掲載されています。
実際にトップページから検索する場合、
- キーワードで探す
- 急いで探す
- じっくり探す
- 都道府県固有の機能から探す
の4パターンから検索することができます。
ちなみに「急いで探す」という項目からは、「現在診療中の医療機関を科目と場所から検索」することができます。
厚生労働省が運営するサイトだけに、「急いで探す」という検索項目を設けることで、時間外の急患に対しても配慮していることが伺えます。
『ナビイ』の特徴➋:助産所や薬局まで検索できる
次に、『ナビイ』の特徴の2つ目ですが、病院や診療所の他にも、助産所や薬局まで検索できるということが挙げられます。
このサイトのトップページを見てみると、
- 医療機関を探す
- 薬局を探す
の2つのタブが設けられています。
薬局を探す場合は、「薬局を探す」タブから入って、医療機関を検索するのと同じように、「キーワードで探す・急いで探す・じっくり探す・都道府県固有の機能から探す」の4パターンから全国の薬局を探すことができます。
助産所を探す場合は、「医療機関を探す」タブから入り、「キーワードで探す」の検索項目に「助産所+地域名」を入力すればスムーズに検索することができます。
『ナビイ』の特徴➌:多言語対応ができる
『ナビイ』の特徴の3つ目ですが、サイトの表記が多言語対応しているということが挙げられます。
このサイトのトップページから、以下の5種類の言語に切り替えることができるようになっています。
- 日本語
- 英語
- 中国語(簡体字)
- 中国語(繁体字)
- 韓国語
また、「じっくり探す」の検索方法には、「対応することができる外国語から探す」という検索項目が含まれています。例えば、韓国の方が日本での旅行中に医療機関を探す場合、韓国語対応が可能な医療機関をここから検索することができます。
全体的な印象は、「広く浅く」
『ナビイ』の全体的な印象は、国のシステムであるため、細かい情報がいくつも含まれてはいますが、あくまで「広く浅く」情報を掲載しているというものでした。
参考までに『ナビイ』で検索できる項目の一例について、以下の表にまとめましたのでご覧ください。いかに網羅性が高いかがお判りいただけると思います。
掲載項目(大) | 掲載項目(中) |
●概要 | ☑医療機関概要 ☑施設詳細 ☑所在地詳細 ☑電話番号・FAX番号 ☑診療時間・外来受付時間 ☑休診日・休業日 ☑診療科目・診療日、診療時間、外来受付時間、予約診療の有無 ☑病院・診療所までの主な利用交通手段 ☑病院・診療所の駐車場 ☑案内用ホームページアドレス ☑車椅子等利用者に対するサービス内容 ☑受動喫煙を防止するための措置 ☑医療相談体制の状況 |
●基本情報 | ☑施設詳細 ☑開設者詳細 ☑管理者詳細 ☑所在地詳細 ☑電話番号・FAX番号 ☑診療時間・外来受付時間 ☑休診日・休業日 ☑病床種別・届出・許可病床数 ☑診療科目・診療日、診療時間、外来受付時間、予約診療の有無 |
●診療所へのアクセス | ☑病院・診療所までの主な利用交通手段 ☑病院・診療所の駐車場 ☑案内用ホームページアドレス ☑予約診療の有無 ☑時間外における対応 ☑面会の日及び時間帯 救急医療機関 |
●診療所内サービス等 | ☑院内処方の有無 ☑多言語音声翻訳機器を利用した対応 ☑障害者に対するサービス内容 ☑車椅子等利用者に対するサービス内容 ☑受動喫煙を防止するための措置 ☑医療相談体制の状況 ☑その他の院内サービス等 |
●費用負担等 | ☑保険医療機関、公費負担医療機関及びその他の病院の種類 ☑その他の選定療養費 ☑治験の実施の有無及び契約件数 ☑電子決済サービスの有無 |
●診療内容、提供保健・医療・介護サービス | ☑4泊5日までの手術 ☑日帰り手術 ☑1泊2日入院手術 ☑専門外来の有無及び内容 ☑オンライン診療実施の有無及びその内容 ☑マイナンバーカードの保険証利用により取得した診療情報を活用した診療の実施の有無 電子処方箋の発行の可否 ☑健康診査・健康相談の実施 ☑人間ドックの検査可能項目 ☑対応することができる予防接種 ☑セカンド・オピニオンに関する状況 ☑地域連携クリティカルパスの有無 ☑かかりつけ医機能 ☑地域の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に対する窓口設置の有無 ☑(1)脳卒中関連(急性期患者受入れ) ☑糖尿病関連 ☑認知症関連 ☑医療従事者の専門性に関する事項 ☑保有する施設設備 ☑併設している介護関連施設等 ☑対応可能な疾患・治療の内容 |
●医療の実績、結果に関する事項 | ☑厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)への参加 ☑診療情報管理体制 ☑情報開示に関する体制 ☑治験結果情報 ☑患者満足度の調査 ☑産科医療補償約款補償 ☑病院の人員配置 ☑対応可能な難病 |
(『ナビイ』サイトより引用し筆者まとめ)
上記のように、『ナビイ』からは多岐にわたる医療機関の情報を一元的に検索することができます。
しかし、自分の健康を託す医療機関探しには、もう少し「生の情報」がほしいというのが本音としてあります。
そのため、次の項では日本最大級の病院検索サイトと言われる「Caloo」というサイトで検索した結果をご紹介することにします。
病院口コミサイト「Caloo」で探していく
前項では、医療情報ネット『ナビイ』を利用した場合のイメージをお伝えしました。
『ナビイ』は医療機関の基礎情報を幅広く調べるにはいいのですが、実際にその医療機関で診療を受けた患者の声などの「生の情報」がありません。
そこで、次に、病院口コミサイト「Caloo」で地域のかかりつけ医療機関の候補を探してみることにします。
Calooホームページより引用
「食べログ」の医療機関版のような印象
前述したとおり病院口コミサイト「Caloo」には、日本最大級の病院検索サイトという触れ込みがあります。
「caloo」は、「食べログ」の医療機関版みたいなもので、患者の口コミの評価で医療機関が点数付けされています。
医療機関探しは自分の健康にかかわることなので、やはり実際の患者の評価や口コミは気になるところです。
実際に「Caloo」のサイトをみてみると、以下のような案内が掲載されていることがわかります。
- 月間800万人が病院選びに使う
- 独立部門が口コミをチェック
- 一方的な決めつけや憶測、誹謗中傷がなく中立的
検索の流れを確認
ここでは、実際に筆者自身が医療機関探しをした結果をお伝えしようと思います。
今回の医療機関探しでは、
筆者が定期健診を受けた後、胃の検査で「要精密検査」が出た時
をイメージして探しました。
少しでも苦痛なく胃カメラを飲みたいので、実際に医療機関を利用した患者の評価や生の声を聞きたいと思ったからです。
さっそく「Caloo」のサイトから以下のような流れで検索していきます。
「エリアから病院を探す」
→「東京」(26,630件)
→「日野市」(224件)
→「診療科目から探す」とした結果、
⇒「消化器内科(17件)」
※口コミ(★)の評価が高い順に掲載
病院口コミサイト「Caloo」の特徴
前述の方法で検索した結果、筆者が胃の精密検査をする候補として17件の医療機関を見つけることができました。
そして、候補となる医療機関の詳細ページを確認していくなかで、「Caloo」のサイトには以下のような特徴があることがわかりました。
- 評価の高い医療機関から効率よく調査できる
- 医師の顔写真を見て受診時のイメージが持てる
- 専門医の情報も掲載され安心してかかれる
- 手書きアンケートから受診時のイメージがさらに増す
- 悪い口コミが少ない傾向がある
上記5点の「Caloo」の特徴について、以下のとおり簡単に説明したいと思います。
Calooの特徴➊:評価の高い医療機関から効率よく調査できる
病院口コミサイト「Caloo」の特徴の1つ目として、評価の高い医療機関から効率よく調査できるということが挙げられます。
要は、検索結果が評価の高い医療機関順で掲載されるため、上から順番に効率よく自分の症状に適した医療機関を調査できることがメリットと言えます。
Calooの特徴➋:医師の顔写真を見て受診時のイメージが持てる
次に、「Caloo」の特徴の2つ目として、医師の顔写真を見て受診時のイメージがもてるということが挙げられます。
Calooのサイトでは、医療機関側が「プレミアム掲載」の契約をすることで、医師の顔写真を掲載することができるようになっています。
掲載された医療機関数は限られますが、医師の顔写真の掲載があるため受診時のイメージをより一層持つことができるというメリットがあると言えます。
Calooの特徴➌:専門医の情報も掲載され安心してかかれる
「Caloo」の特徴の3つ目として、専門医の情報が掲載されているため安心してかかれるというメリットが挙げられます。
これは前掲した医療情報ネット『ナビイ』 にも掲載されている情報になりますが、『ナビイ』は診療科情報があるタブとは別のタブに「医療従事者の専門性に関する事項」という項目があるため、専門医の情報を拾うのにひと手間かかります。
それに対して、Calooのサイトでは、診療科情報と専門医情報が併記されているため、よりわかりやすく簡単に専門医の情報にたどり着くことができます。
Calooの特徴❹:手書きアンケートから受診時のイメージがさらに増す
「Caloo」の特徴の4つ目として、手書きアンケートから受診時のイメージをさらに膨らませることができるということが挙げられます。
Calooのサイトでは、一部患者の手書きアンケートを直筆の状態で閲覧することができます。手書きアンケートは、入力し直された活字とは異なり、口コミとして投稿している患者の生々しい想いがその文字から読み取ることができます。
これは口コミ検索している読者の視覚に、かなり強力に訴える効果があると言えます。
Calooの特徴❺:悪い口コミが少ない傾向がある
最後、「Caloo」の特徴の5つ目として、悪い口コミが少ない傾向があるということが挙げられます。
これは、今回筆者自身のかかりつけ医を探すための調査で全体的に感じた印象になりますので、一概にそうだとは言えません。
しかし、良い口コミだけを鵜呑みにして医療機関を選定することには注意が必要と言えるでしょう。ある程度ネガティブな口コミも情報として取り入れながら、中立的な視点で医療機関を選びたいところです。
最終的に今回の医療機関の検索で、筆者自身の受診候補施設を2~3箇所に絞ることができました。
まとめ
おそらく私以外の方々にも、このような方法で探している方も少なくないのではないでしょうか。
口コミサイトの信ぴょう性については議論の余地があると思います。
しかし、現実的に地域の医療機関選定の最終的な決め手が、ネットの口コミによる場合が多いことも否定できないと思います。
良い口コミもあれば、悪い口コミも必ずあります。悪い口コミほど受け手に与える影響が大きいので、医療機関の立場から考えると、早い段階で組織的な対応を取ることが重要だと考えます。
これを機に、口コミサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか?
今回の記事が、少しでも何かのお役に立てれば幸いです。